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初心者向け研究発表のコツ

自分も初心者というか,たかが1回研究発表やったことがあるだけなんですが,その時のボコボコにされた思い出と反省を覚え書きとしてまとめました。研究者の方々にとってはあたりまえのことすぎるとは思います。自分はこれにしたがって発表した結果,研究内容に関する諸々の突っ込みを受けることなくフィードバックがもらえたので今後研究をする誰かの役に立てばありがたいです。

・研究発表のコツ

研究発表は,自分の研究の内容のうち言いたいことを言い散らかすものではない。研究発表は,自分の研究の背景,目的,アプローチ,結果,考察,展望を一つの論理の糸で結びつけることで,自分の研究内容を他者に理解してもらい,受け手の考えをフィードバックしてもらうために行うものである。以降は研究発表のスライド作成において学んだコツについて備忘録としてまとめておく。

1,全体を通して

全体を通して,論理は破綻,飛躍なく一貫していなければならない。研究の前提を理解した上で,フィードバックを貰う必要があるのに,論理が破綻,飛躍していると研究の前提を疑わせてしまう。

見やすいスライド作りのためには文字サイズ20pt以上,可能ならば30pt以上を目指すべきである。大学の授業等で見られる文字だらけのスライドは,限られた時間の中で十分に自分の研究を伝える上では不適切である。文字は最低限,文は作らないこと。文章で書く必要があると思い込んでいる時ほど,実際には述べたい内容にとって不要だったり,図表などの形で表現可能だったりすることも多い。話の中のキーワードを抜き出すだけでも伝えることは可能だ。文字サイズの決め事は,図表においても同じである。スケールバーの文字が小さくなるくらいなら,トリミングしてより大きい文字で上書き,もしくはその数字が発表において重要でないならばトリミングして出さないほうがマシである。

他分野の相手に話を理解させる必要があるならば,必要以上にテクニカルタームを出すことは避けるべきだ。テクニカルタームをよりわかりやすい単語で言い換える,もしくはテクニカルタームについての明確な定義をスライド中に示す必要がある。ただし,そのテクニカルタームが相手の専門分野において常識語であるならばその限りではない。

また,論理を構成していった結果,あとで説明すべきことを前の段階で言わなければならなくなるという現象に陥ることがあるが,これはテクニカルタームを含まない適切な別の言い回しに言い換えることで違和感なく後ろの方でテクニカルタームを導入して解決できることがあるので留意しておこう。

研究を始めたばかりの人は陥りがちな誤解であるが,スライド発表において,指導してくださる教授,先輩方は時に研究の存在意義を問うなど非常に厳しい質問を飛ばしてくる。これは自分の研究内容を否定したいわけではない。ただ,発表の中に必ず含んでいるべき内容が盛り込まれていないということを言いたいだけなのだ。自分ではなくスライドのダメ出しなので,言っていることの内容をちゃんと聞き,スライドにフィードバックさせよう。この文章中ではよくあるスライドの欠陥とそれに対応した質疑におけるコメントも含まれているので,予め言われないように対策するか言われたときにどこが悪いのかを把握するのに役立てて欲しい。

2,スライド構成

スライド内容構成の基本は,表紙,背景→目的,目的→アプローチ,手法の具体化,結果,考察,今後の展望である。複数の目的に基づいて研究をした場合には,目的手法結果考察を複数分含む必要がある。また,各枚数は,発表時間に応じて定められる。

3,背景→目的

背景スライドは,自分の研究の背景から,自分の研究の目的に至るまでの流れを論理的に説明する必要がある。どのような問題,興味があって,それのためにどのようなことをしなければならないのかという経緯を説明するといい。かならず,このスライドの最後の主張が目的にダイレクトに結びつくことを確認しなければならない。この部分に破綻や飛躍がある場合,「どうしてそんな研究をするの?その研究に意味があるの?」と言われるので注意。

4,目的→アプローチ

目的スライドでは自分の研究の目的から,研究のアプローチまでの経緯を述べる必要がある。研究自体が新規的である場合を除き,自分のアプローチがどのような点で新規的であるのかを述べる必要がある。また,他の想定しうるアプローチがある場合,何故このアプローチを選んだのかという点を明確にする必要がある。

1つの例としては,「目的のためには何をしなければならず,過去の研究を踏まえるとそれはどのような点で難しいことで,このようにすればそれを乗り越えることができるので(新規性),こういった方法を取った。」である。

学部生の研究の中間発表においては自分の研究の目的のうちの一部しか行っていないので,大局的な目的の他に中間発表までに行ったことの目的を書いたほうが明確になる。ここが不十分,飛躍,破綻していると「どうしてこの目的に対してこのアプローチを取るのか。他のアプローチとしてこのような方法があるが,何故こちらを選んだのか。」といわれる。また,ここまでの段階で研究におけるキーワードとなる語句について呈示,必要であれば定義,説明する必要がある。本当に重要なら確実に盛り込めるはずである。

5,手法の具体化

手法の具体化では自分の研究の手法について具体的に述べていく。自分の行った実験の過程を全て説明する。とはいっても過程それぞれを詳細に述べていく必要はない。むしろ余分な情報は議論の論点をぼやかしてしまうため不適切である。実験過程のどこをどの程度説明すべきかは,結果を理解させるためにどの程度重要であるかと実験の目的とどの程度関連があるかで定まる。結果,考察から連鎖的に決まっていくので手法は後回しにしたほうが良いかもしれない。

例,結果:クラスタリングした結果,4つのクラスで違いが見られた。→手法中でクラスタリングを行い,4つのクラスに分かれたことを述べる。→手法中で何故クラスタリングを行うのかを述べる。

ここが不十分だと「何をやっているのかわからない。なぜこれをする必要性があるのかわからない」と言われる。

6,結果

基本は生データであるが,5で解析手法も含めて生データを呈示した場合は解析後のデータを呈示してよい。逆に言えば解析後のデータが結果の場合,手法の具体化で解析手法を述べる必要がある。

7,考察

考察では自分の結果から考えられることを述べていく。唯一文字が多くてもいいパートではあるが,各文章をこれ以上簡潔に言い表せないくらい簡潔にすることを忘れてはいけない。考察のタイミングで説明せずに新しいテクニカルタームを呈示することは混乱を招くので控えよう。

8,今後の展望

考察を踏まえて今後やるべきことを明示する。目的の全体像,考察とつながらないことは述べるのに相応しくない。

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